「・・・・・」
俺達は無言だった。
後ろから、俺達がCDを貸し借りする光景を見ていたのは国語の先生。
優しくて、生徒からも人気がある先生だった。
が、今回ばかりは駄目だろうと思った。
CDは本来学校に持ってきてはいけない。それは校則で決められている。
その違反行為を先生に見つけられてしまったのだ。
CDは即没収、『MATERIALS』の評判はますます悪くなるだろう。
俺は覚悟の上で、そのまま無言を保っていた。
予想通り、一番最初に口を開いたのは先生だった。
だが、発した言葉は予想とまったく違った。
「今度は見つかるなよ」
そう言うと先生はすたすたと歩いていってしまった。
「・・・・・あれ?」
予想外の事に、俺はすっとぼけたような声を出す。
「・・・・・予想外だね。もう終わりかと思った」
あの人も驚きを隠せない様子だ。
「きっと、機嫌が良かったんだな。ま、なにはともあれ助かった」
あいつが平和に言った。
俺も自分にそうだ、と言い聞かせた。


廊下をこつこつと歩く国語の先生。
誰にも聞かれないくらい小さな声で独り言を言った。
ハピマテの数だけ想いがある、か。あの子達を見てると本当だって思えちゃうよなぁ」


「やっぱり、駄目だったか」
「あぁ、すまない」
放課後、再び生徒会室に呼ばれた俺達は生徒会長から
「職員を説得したが、結局OKとは言ってくれなかった」
という返事を聞いた。
俺は少しだけがっかりした。
あれだけ自信を持って言っていたから、もしかすると、と思っていたが、甘かった。
「じゃあ、結局文化祭での演奏はなしか・・・・・」
俺がそう言うと、生徒会長はにやりと笑った。
「確かに職員はOKの返事をくれなかった。だけど、俺達に任せてくれないかな?」
俺は生徒会長の言葉が分からなかった。
――俺達に任せてくれ?
「え、それってどういう・・・・・」
「その通りの意味さ。君達は心配せずに練習をしていてくれ。俺も君達の演奏は楽しみにしているんだ」
会長の言葉に、あの人も笑って
「OK、僕も生徒会の力に期待するよ」
と答えた。
勝手に話が進んでいるようだが、あの人と会長が大丈夫と言っているのだから大丈夫なのだろう。
彼女も
「じゃ、じゃあお願いします――」
と言う。他のメンバーも口々に「お願いします」と言った。
「あ、それと――」
会長は思いだした、というそぶりをして言った。
「できれば、職員が絶対にやってほしくないような事をやってほしいな」
――職員が絶対にやってほしくないこと?
「そう、例えば――」
会長の言葉に、あいつが割り込んだ。
「よーするに、エロいことをやればいいんだろ?」
「・・・・・ま、そういうことだね」
その言葉に、彼女の顔が赤くなった。
「ただ、無理にお願いしたら俺も変態だから。君達次第、ということにしておくよ」
「実際、やるとしてもやるのは僕じゃないから、今は返事をしかねるね」
あの人が答える。
「・・・・・・いいよ」
あの娘が言った。
「先生達にはほとほと呆れてきた所だったから。ここで一泡ふかせてやれるんだったら、やってもいい」
その言葉を待っていました、とばかりに会長が
「頼んだ」
と一言言った。
彼女の方は顔を赤くしてうつむいたままだ。
「じゃあ、幸運を」
会長に見送られ、俺達は生徒会室を出た。


放課後、あいつの家にあつまった俺達はそれぞれで楽譜作りをしていた。
今までは1曲だったが、今回は5曲もある。
それを時間の都合上、2日で完成させろというのだ。
楽器担当の3人は必死で音楽を聴きながら、それを耳コピし楽譜を作っている。
楽譜を読むことさえもままならない俺とあの娘はそれぞれ他の仕事をしていた。
あの娘は、ネギまの単行本をみながらパンフレットの表紙絵描き。
俺はパンフレットの中身の文章書き。
それぞれがそれぞれの仕事のために時間を使っていた。
――でも、生徒会長はどうやって俺達に演奏させるつもりなんだろう
俺はふと思った。
――先生達は駄目って言ってるわけだし、いくら生徒会といえども先生達の権限を覆せるとは思えない。
だけど、と俺は思った。
――生徒会長もあの人も大丈夫みたいなこと言ってたし・・・・・。いったい何をするつもりなんだ?
「ほら、そこ手休めない」
あの娘に言われて、文章を書き始める俺。
――それに、あの国語の先生の行動も不可解だ。
俺はまた鉛筆を止めた。
――いくら機嫌がよくても、校則破りをあんなに簡単に見過ごすわけがない。もしかして、国語の先生は生徒会に動かされてる・・・・・?
俺は、あの人にその事を訊こうとした。
が、やめた。
楽譜を作っている時に話しかけるのは、あまり利口じゃない。
――俺は、今できることをやるか
そう思って、俺は再び鉛筆を動かし始めた。


「やっと3曲分できたー!」
あいつが声をあげた。
時計を見ると、2時間が経過していた。
「あと2曲は、明日にするか?」
あいつの言葉に、あの人と彼女の二人が頷いた。
「私の方も、下書きだけだけど、できた」
あの娘も振り返って、A4の紙を半分に折って描いていた表紙絵を見せる。
「どうだろう、漫画だけじゃ細かいところまでは分からなかったから、後ろの方とかは想像で作っちゃったんだけど」
俺はその絵をのぞき込むようにして見た。
ネギまのキャラ達が、マイクを持って踊ったり、歌ったりしている。
――上手い
率直な感想だった。
そういえば、あの娘は小学生のころ絵の作品展で賞を貰っていたような気がする。
だけど、二次元創作をさせてここまで上手い人が身近にいたなんて、と俺は思った。
あいつも
「こりゃ凄いや。」
と言ったし、彼女も
「うわぁ、上手・・・・・」
と褒めた。
あの人はそれをじっと見て、何か考えたような顔をしたあと、一言だけぼそっと言った。
「・・・・・萌える」
「え?」
あの娘に訊かれ、あの人は慌てて
「あ、いや、上手だね、って言ったんだよ」
と答えた。
「そう、じゃあ本書きに移っていいよね」
とあの娘は言う。
「今日はもう遅いし、これで解散にするか」
あいつの言葉で全員が立ち上がった。
「じゃあ、これは家で完成させてくるから」
あの娘も、そう言った。あいつは「頼む」とだけ言うと、PCの電源を落とし
「じゃ、解散!」
と言った。
俺はあいつの家を出て、まっすぐ家に向かった。


「俺達が集まってると、怪しまれる」
あいつが最初に言い始めた。
たしかに俺もその通りだと思った。
演奏をすることができないはずの俺、あいつ、あの娘、彼女、あの人の5人が集まって話をしているのを見られたら、先生達も怪しく思い、何かと手を回すかもしれない。
ただ「仲良しなんです」では説明がつかないだろう。
この前、国語の先生に見られた時も、ヤバイと思ったがあの時は運が良かったのか、見逃してくれた。
「そこでだ――」
あいつが考えた方法は次のようなものだった。
使ってない教室の黒板に時間を『13:30』のように書く。
その時間に、MATERIALSのメンバーはそれぞれバラバラに屋上で待ち合わせ。そして、作戦会議を行う。
作戦会議といっても、緊急の場合や、すぐに決めなければならないものがある場合だけ。
「どうよ。」
あいつの考えに、全員が賛成した。
そして、その日からその方法で連絡を取り合うことになった。
帰りのホームルームが終わり、俺は例の空き教室に向かった。
誰もいないことを確認すると、こっそり黒板を見る。
そこには、あいつの文字ででかでかと
14:40
と書かれていた。
時計を見ると、2時30分。あと10分しかない。
俺は急いで屋上へと向かった。
屋上へ向かう途中、国語の先生に会った。
「こんにちは」
と挨拶をして通り過ぎようとすると、先生は
「あ、ちょっとまって」
と俺のことを呼び止めた。
――もしかして、バレた?
そう思ったが、心配は無用だった。
「ちょっと手伝って欲しいんだけど、放送室に機材を運んで欲しいんだ。職員室の僕の机にあるから。急いでなければだけど」
俺は時計を見る。
少しくらい遅れても大丈夫だろう。
そう思い、
「はい、わかりました」
と答え一階にある職員室に向かった。


「失礼します」
そう言って職員室に入ると、そこにはあいつと彼女、そしてあの娘がいた。職員は誰もいない。
「あれ、お前もか」
あいつは俺にそう言った。
最初、俺はなんのことか分からなかった。
俺は国語の先生に頼まれて、ここにきたのだ。あいつ達が何故ここにいるのだろう?
よく見ると、あいつ達は国語の先生の机の周りにあつまっていた。
「ま、一端廊下にでようか」
あいつはそう言い、国語の先生の机の上から機材やPCなどを運ぶ。
そして、俺達は
「失礼しました」
と言い、一礼すると職員室を出た。


「お前も国語の先生に頼まれたのか?」
あいつに訊かれ、俺は頷いた。
「実は、俺達全員そうなんだよ。しかも、同じ用件で」
「え・・・・・」
俺は驚いた。
「でも、これだけ運ぶの、一人で十分だろ?そんな4人に頼むほどのことじゃ――」
あいつが話している途中で、あの人が階段を降りてきた。
「あれ、君達、何やってるの?」
「なんだ、お前もか」
あの人は不思議そうな顔をする。
「実はな――」


あいつが俺にしたのと同じ説明をあの人にしおえる。
「そうなんだ・・・・・」
そう言って、あの人は顎に手をあてて物を考えるような表情をする。
「よくわからないな。ま、とりあえず運ぼう」
そう言って、機材を放送室に運ぶ。
ほんの少しだけのものを運ぶだけだったので、作業は楽だった。
そして、それを終えると、俺達は屋上へと向かった。


屋上へ続く階段を上ろうとして、俺は我が目を疑った。
先生達がぞろぞろと階段を降りてくる。一人や二人じゃない。おそらく、全職員が集まっていたのだろう。
屋上でしなければならないような話をしていたのだろうか。
それはともかく、あの状態で国語の先生に手伝いを頼まれなければ俺達は危なかっただろう。
MATERIALSのメンバーがぞくぞくと屋上に集まったら、そこにいた先生達に見つかり、何をしにきたか聞かれてしまうところだった。
あの時、国語の先生に手伝いを頼まれたからこそ、俺達はその危機を乗り切ることができた。
――果たしてこれは偶然なんだろうか
俺は疑問に思った。
だが、国語の先生は俺達の連絡手段を知らないだろうし、ましてや俺達を助けて得をすることなど微塵もない。
降りてくる先生の中に国語の先生を見つけた。
「あ、君達、運んでくれた?」
俺達は頷くと、先生は
「そうか。ありがとう」
と言い、その後に俺達にだけ聞こえるように耳打ちをして言った。
「あの連絡方法はあまり賢いとはいえないな。いくら空き教室と言っても、先生達は一日に何回かはあの教室に入る。だから黒板に書いてあることも読むだろう。」
俺達の驚く顔をよそに先生は続ける。
「ただの落書きと思って済ませる先生がほとんどだろうけど、僕みたいに勘が鋭い先生は、何か生徒同士の暗号とか、集合時間の決まりだと考えると思うよ。そして、生徒が他の人に内緒で集まる場所なんて屋上くらいしかないからね。下手をするとバレるよ」
俺は驚きを隠せなかった。ここまでバレていたなんて、信じられない。
「でもそれに気づいてるのは今のところ僕だけみたいだから、手段を変えるなら今の内だね。誰のメッセージなのかは分からなかったけど、君達の顔ぶれをみれば誰でも察しはつくだろう。うん、それじゃあね。仕事手伝ってくれてありがとう」
そう言うと国語の先生はいつもの笑顔で階段を降り、職員室に向かった。


「さて、それではB組の出し物は『演劇』になりました」
あの娘が言った。
教室中からまばらな拍手。
「それでは、時間もないので脚本はネット上で公開しているものを。配役は今急いで決めます」
そう言って、立候補者を集め、順番に決めさせる。こういうとき、あの娘はリーダーシップがあって改めて凄いと思う。
今、俺達のクラス3年B組の文化祭での出し物を決めていた。
他のクラスは喫茶店やお化け屋敷など既に決めていたが、俺達のクラスはまだ決めていなかったのだ。
それで今日、急いで決めてしまい、多数決で女子の票の大多数を独占した『演劇』に決定した。
正直乗り気ではなかった。劇とか、演技をするものはほとんど苦手だった。
「それでは、主役の王子役をやりたい人」
・・・・・男子は誰も手をあげない。
俺も、「誰かはやく手挙げて決まってくれないか」と心の中でずっと思っていた。
と、誰かがすっと手を挙げた。
「俺やる。やりたい」
手を挙げたのは、あいつだった。
俺は心の底から驚いた。あいつがこういうことをやるような人間だとは思っていなかった。
確かに乗りは良くて、目立ちたがり屋ではあるが、演劇の主役をやるような人間ではなかったのだ。
「はい、じゃあ、一人だけなので決定――」
そう言って、あの娘は黒板にあいつの名前を書く。
「じゃあ、ヒロインのお姫様役をやりたい人――」
あの娘がそう言った時、数人の女子がにやりと笑って手を挙げた。
予想外に手が多く挙がったので、あの娘は驚きながらも
「じゃあ、希望する人でじゃんけんをして・・・・・」
「いや、そうじゃなくて」
手を挙げた女子の中の一人があの娘の言葉を途中で制し、言った。
「あんた、やりなよ」
その顔はにやにや笑っていた。
「・・・・・え、私?」
あの娘は動揺を隠せない様子だった。
――あぁ、そうか
俺はそこで察した。
恐らく、女子の中の数人はあいつとあの娘が付き合っていることを知っているのだろう。
そして、あいつが王子役になったということで、その恋人役をあの娘にやらせる。
そういう冷やかしなんだ、と。
「え、でも、私は・・・・・」
いつもはきはきしているあの娘が恥ずかしがるのは珍しかった。
ハピマテの台詞を歌うことだって躊躇わず許可したあの娘だったのに。
そして、あの娘は女子数人の圧力に負け、
「分かったよ・・・・・。他に希望する人がいなければ、私がやります」
と言った。
女子達は
「じゃあ決まり!」
と言い、すぐに黒板にあの娘の名前を書いた。


「んあー、私、ヒロイン役なんて自信ないよー・・・・・」
休み時間、あの娘がこれまた珍しく、弱音を吐いていた。
「ま、なんとかなるって」
あいつが励ます。
俺も
「そうそう、俺なんかこんな役だし」
と言い黒板を指さす。
俺は「そうだそうだ」と言うだけの蟻の役だった。
基本的に、公演は午前と午後の二回、別の話が行われる。入場料は30円。
午前に出演する人は午後、午後に出演する人は午前に文化祭を見て回る。
幸い、バンドコンテストは4時からで、午前と午後の公演どちらにも被らなかったので助かった。
「ところでさ」
あいつが話を変える。
「あの国語の先生、今付き合ってる彼女と良い感じで、もうすぐ結婚するかもしれないらしい」
――なるほど、あの先生、まだ独身だったのか
「それで気を良くして俺達のこと助けてくれたのかもな」
あいつがそう言った。
「・・・・・そうかもな」
俺はそう言ったものの、なかなか納得できなかった。
それだけで、俺達のことを助けるような真似をするだろうか?
と、あの人が来て、俺達に言った。
「生徒会長が呼んでる」


「・・・・・そっちのクラスの出し物は何にしたの?」
生徒会室に向かう途中、俺はあの人に話題を出した。
「喫茶店
一言だけで答えるあの人。
「喫茶店か・・・・・」
「でも」
あの人は笑って言った。
「なんだかヤバイ方向に進んでるけどね。僕が仕組んだわけじゃないけど」
その言葉に彼女が微かに反応して顔を赤らめた。
――いったいどんな方向に進んでるんだろう?
俺はそう思ったがあの人に尋ねるのはやめた。
――文化祭当日までの楽しみにとっておこう
そう考えていると、生徒会室に到着した。
「失礼します」
ノックをして中に入るあの人。俺達もそれに続いて入る。
「突然呼んでごめんよ」
会長が話を始める。
「先生達に話して駄目だと言われたっていう話だけど――」
そう言って、会長が一枚の紙を出した。
職員室へもっていく、バンド報告のためのプリントだった。
『生徒会役員の発表』『バンドコンテスト2位・花鳥風月の発表』などと書かれている中に一つだけ気になる項目をみつけた。
「これは・・・・・」
そこにはこう書いてあった。


バンドコンテストの大トリには秘密のゲストを招待予定。本番までお楽しみに。


「もしかして、このゲストっていうのが――」
「そう、君達さ」
会長は何事もないように言った。
「でもそれじゃあ――」
「もちろん、先生達は知らない。知ってたらこれにOKなんかしてくれないだろう。」
会長の言葉に、あの人が満足げな表情で
「じゃあ、OKしてもらったのか」
と言った。
「あぁ。本番は司会が『特別ゲストです』って言うからそうしたら君達が出ていってほしい」
会長が手順を説明しはじめる。
「出ていってしまえばこっちの勝ちだ。あとは君達が演奏して戻ってくれば良い。お捻りはかなりの量が――」
「でも」
会長の言葉をあいつが遮って言った。
「先生達もそれなりに妨害しようとしてくるんじゃないか?俺らがステージの上に出て行けても、幕を下ろされたりしたら終わりだぜ?」
会長は馬鹿にしないでほしい、という顔で言った。
「それは生徒会の全面サポートで阻止するよ。まず、君達が演奏する時はステージ上には誰もあがれないようにする。ステージに上がるための横にある通路も、カギをかけて封鎖。その他にも対策は考えてあるから、心配しないでくれ」
その言葉にあいつは納得したような顔をして
「OK」
と言った。
「それじゃあ、バンドが始まるのは4時からだから、君達にはぎりぎりの時間、そうだな3時45分くらいに誰にも見られないように体育館の裏の道をつかってステージ裏まで来て欲しい。君達が来たら、ドアにはカギをしめる」
「了解」
それを言い終えると、会長は
「伝えたいことは以上。最高の演奏、期待してるよ」
と言った。
そこで、あの娘が思いだしたように
「そうだ、これ、プログラム作ってみたんだけど」
と前、描いていたものを差し出した。中には俺が書いた文も入っている。
「おぉ、これは凄い・・・・・」
会長はそう言って、それを受け取った。心の中で思っている言葉は安易に想像できる。
「じゃあ、これは僕達がコピーして君達が演奏する時に配布することにしよう」
「うん、お願い」
あの娘は満足げな顔で言った。
「それじゃ、帰って練習開始といきますか?」
あいつの言葉で俺達はすぐに生徒会室を飛び出し、あいつの家に向かった。
文化祭まで、もう少しだ。


       (第七十九話から第八十三話まで掲載)